見どころ① 風炉嶺火山 ── 海口の最高点、緑に満ちた火口の底へ
馬鞍嶺火山群の主火山「風炉嶺(フォルリン)」は、雷琼火山群の中で最も堂々とそびえる火山である。噴火で裂けた傷口のような火口に沿って階段を下りると、深さ69メートルの底にたどり着く。
- 火山口ハイキング:公園入口から主火山へ向かい、熔岩の跡を約20分登ると火口の縁に到着。そこから傷口に沿って下り、火口底まで往復できる。
- 緑の谷:火口底は意外にも荒涼としていない。苔やシダ、高木や低木が火山岩の隙間から生い茂り、まるで自然の植物園のようだ。海口は雨が多く日差しも強く、火山岩に含まれるミネラルが植物を育む。
- 絶景展望:火口の頂上は標高222.8メートルで、海口の最高点。周囲の集落や遠く瓊州海峡まで見渡せる。
現地民俗:なぜ端午節に火山を登るのか
- 端午節は「龍抬头日」とされ、一年で最も陽気が盛り上がる節気。
- 登山は「步步高升(一段と高みへ)」「登高望远(遠くを見渡す)」の象徴。
- 火にまつわる火山を巡ることで「紅紅火火(盛んであること)」の好彩頭を得る。
- 旧正月の早朝、頂上で鶏の鳴き声が聞こえると一年が吉祥順調に過ごせると信じられている。
見どころ② 三卿村 ── 火山石に800年の息吹が宿る古村
火山公園からほど近くにある「三卿村」は、宋代から続く約800年の歴史を持つ火山石の古村だ。村内の小道から家の壁、門、塀に至るまで、ほぼすべてが火山石を積み上げて作られている。
- 豪賢門:1885年に建てられた石造りの門。「贒(賢)」の文字が「臣・忠・貝」から成ることに、当時の民風と村人の願いが表れている。
- 敬字亭:文字の書かれた紙を丁重に焚くための塔龕。文字を敬う古い風習が残る。
- 安華楼:1930年に村民の協力で建てられた3階建ての砦楼。抗日戦争中、日本軍の攻撃を受けた際の弾痕が今も壁に残り、悲しい歴史を物語る。
- 火山石の建築:家屋は熔岩流の上に建てられ、冷却した熔岩がそのまま小道となった。石と石の間に接着剤を使わない「乾積(ドライスタック)」技法により、通気性が良く冬暖夏涼の住居が実現している。
村内を歩けば、廃屋に生える苔や石垣の草、ゆっくりと歩く鶏や鵞鳥の姿が、観光地化されていない素朴な時間を感じさせる。規模は小さく、1時間あれば十分に回れる。
アクセス・巡り方
- 海口市中心(騎楼老街)から:タクシーまたは配車アプリで約45分。火山公園の入場券が必要。
- 周遊ルート:海口市街 → 雷琼海口火山群世界地質公園(風炉嶺) → 三卿村。半日〜1日で回るのがおすすめ。
- 服装・持ち物:火口の階段は急で狭い。膝に不安のある人は慎重に。日よけ帽子、水、滑りにくい靴を推奨。
- ベストシーズン:端午節(旧暦5月5日頃)には地元の人で賑わうが、それ以外でも緑が美しい。海口は通年温暖だが、夏は蒸し暑いため早朝の散策が快適。
旅のポイント
火山公園と三卿村は、海口の「海とは違う顔」を知るのに最適なスポットだ。観光化が進みすぎない三卿村は、時間の流れがゆっくりとした場所。若者が都会に出て高齢者だけが残る「空心化(から化)」の中で、石造りの家々はかつての暮らしを静かに見守っている。火山が生んだ大地と、そこに根を下ろしてきた人々の物語を感じながら、ぜひゆっくり歩いてほしい。